今日も『せたがやの民話』から載せたお話です。
梅丘にどこか品のある老いた刀鍛冶がいました。
この刀鍛冶は吉良氏から刀や槍の注文を受けて、日々仕事に精を出していました。
ある日、刀鍛冶のところに加賀の前田家からの密使がやってきて、
吉良氏は滅ぼされるだろうと言いました。
故郷の越前小松に逃れるように言われますが、刀鍛冶は世田谷に留まることとし、刀鍛冶の宝物である「本貫」を伝える巻物を故郷に届けるように密使に頼みました。
それから後弟子たちの槌が乱れた時、刀鍛冶は
「刀鍛冶を志すものは、本貫や巻物より、腕が証明するものだ。たとえ鍬や鎌をつくる野鍛冶でも、本物には魂が宿るのだ」と言って、弟子たちを諭しました。
やがて吉良氏は戦わずして落ち延びることとなり、刀鍛冶にも従うように言いましたが、刀鍛冶は梅丘に留まりました。
吉良氏が去った後の世田谷は静かな農村となり、刀鍛冶は包丁や鍬、鎌をつくる鍛冶屋となりました。
「これでいいんだ・・。」老匠はそっとひとりごとを言いました。
というのが今回のお話です。
あらすじの抜粋というより、本文をほとんどそのまま抜き出してしまいました。
というのも今回の話の趣旨がいまいちつかみきれなかったからなのです。
最初刀鍛冶は吉良氏に忠誠を尽くしていて、加賀(何で加賀から密使が来るのかもよく分からないのですが。越前って前田家だったのですかね。)の密使の話を聞かなかったのかと思ったのですが、どうやら違うようで・・・。で
も刀鍛冶や吉良氏という地位よりも、農村世田谷に残って、職人としての魂を大事にしたんだな、とういことを感じました。
このお話も中世の世田谷を舞台としていて、中世の世田谷を治めていた吉良氏が出てきますね。