奥沢城のカヤの木にまつわるお話です。
奥沢城にはとても美しい姫が住んでいました。ある日傷ついた白鷺が奥沢城のカヤの木にとまりました。これに気付いた姫は白鷺の手当てをして、白鷺はみるみる元気になりました。元気になった白鷺に元の巣に戻るようにと言い、奥沢城であずかっていたことをしたためた文を白鷺の足に結びました。幾日か経って、再び白鷺は姫のもとにやってきました。その日の夜、奥沢城は不審な人影に取り囲まれました。しかし異変に気付いた白鷺が、飼い主である吉良の殿様に知らせたため、吉良の殿様が遣わした兵によって奥沢城は守られました。そしてそれから後も白鷺は吉良の城には戻らず、奥沢のカヤの木にとまって姫たちを見守ったと言います。
以上奥沢城のカヤの木物語でした。
この「白鷺」「吉良氏」「大平氏(奥沢城)」がポイントになっているお話は、有名な常盤伝説の他にも、この奥沢のカヤの木のお話や、また崎姫と吉良頼康との縁結びのお話としても聞いたことがあります(崎姫は後北条の出)。それだけこの白鷺伝説は、世田谷で愛されてきたということですかね。